婦人ジャーナル
子供を生む自由
山主 敏子
pp.57
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204030
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アメリカの場合
わが国にもウーマン・リブ(女性解放運動)の団体ができたそうである。それがどんな旗じるしをかかげた団体であるかはともかくとして,たとえ法律的には男女同権をかちえているとはいえ,日本のばあい,女性が社会的進出をめざしたときにぶつかる厚い壁はまだまださまざまな形で残存しているので,不平不満が出てくるのは当然である。
だが,アメリカのウーマン・リブについてはあれほどレディファーストの国でなんの不満ぞと,ちょっと不思議に思われる。だが,たしかに参政権こそ半世紀前に獲得したとはいうものの,実はアメリカの女性はけっして男女同権でもなければ,解放されてもいないのだ。レディファーストは表面だけで,家計のさいふのひもさえも,ガッチリと亭主族がにぎって,女房の思いのままにはさせないのだ。それはつまり女房を信用せず,かよわきものとして子ども扱いしているからである。わが国の若い妻たちが夫から封を切らない月給袋を渡されるのを当然と心得ているのとはだいぶちがうのである。
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