特別寄稿
江戸城大奥の産俗
興梠 忠夫
pp.47-49
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203841
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いわた帯
ご殿医師が将軍婦人の懐妊をみとめて,その旨を申し上げると,将軍夫人はこ不例と称してご休息の間に,側近の侍女は病気と申し立てて自分の部屋にひきこもる.そして月のものがとまってから5カ月目の甲子(きのえね),甲戌(きのえいぬ),丙午(ひのえうま),丙戌(ひのえいぬ),丙子(ひのえね),戊戌(つちのといぬ),庚戍(かのえいぬ),辛酉(かのととり)などの吉日をえらんで,いわた帯(御襭帯)をされ,将軍夫人も側近の侍女も北のお部屋へ坐が移される.この部屋に住みかえてからは,侍女たちも将軍夫人と同様の取り扱いをうける.
いわた帯はスズシ8尺を5つにたたんで,その中に白米88粒,さざれ石5個と大豆1粒を2つにたち割り,左右の内側に伊勢の2字をかきわけて,それを糊でしっかりとはりつけ,元のようにしたものとを紙につつみ,その上に,
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