インターホン
自然産こそお産の原点
青柳 かくい
1
1青柳助産院
pp.876
発行日 1983年10月25日
Published Date 1983/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206332
- 有料閲覧
- 文献概要
私は戦前戦後を通して50年以上開業しておりますが,その間,約1万5,6千人の赤ちゃんをとりあげてきました。戦後は急に病院分娩が多くなりましたが,病院で出産をした人に話を聞きますと,ほとんどと言っていいくらいの人たちが「会陰を切られて,お産をした」と言います。しかし,私にはどうして会陰を切らねばならないのかと不思議でなりません。私の経験からは,会陰を切らなければならないということは,まずありませんでした。産婦や胎児に異常がなく,薬や注射を用いなければ胎児は死に至るようなことはないと信じております。
今日,科学や医学は非常に進歩しましたが,人工的に手を加えることによって,かえって異常にさせてしまうことがあるのではないでしょうか。排臨・発露に少々時間が長くかかりましても,焦らず自然を待ちます。しかし,産婦が疲労していれば陣痛が弱くなったり,一時止んでしまうことがありますので,そのような時はまず第一に産婦の疲労回復に努めることが大切だと思います。それには部屋を暗くしたり雑音を少なくし少しでも眠らせることと,食物を食べない産婦には,濃いめの砂糖水に氷を入れて与えたりしますが,そうすれば甘くても飲めますので力もついてきます。また,カルピスなども元気がでます。疲労が回復してきますと,再びよい陣痛が戻ってきます。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.