特集 助産婦に必要な薬の知識
(1)妊産婦とくすり
ホルモン剤について
前山 昌男
1
1奈良県立医科大学
pp.12-16
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203798
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I はじめに
体内には2種類の分泌腺がある.1つは外分泌腺(たとえば乳腺,バルトリン腺,涙腺,汗腺など)と呼ばれるもので,その導管の中へ物質を分泌する.いま1つは,産生した化学物質を直接血液中に分泌し,それが血行により他の組織(そこでその物質が作用するので,標的器官と呼ばれている)に運ばれるような腺であり,内分泌腺または導管のない分泌腺(たとえば脳下垂体,松果腺,甲状腺,副甲状腺,胸腺,膵臓,副腎,卵巣,睾丸および胎盤)と呼ばれている.この内分泌腺でつくられる物質がホルモンである.体内での多くの代謝過程は,ホルモンにより触媒し,調節されている.その標的器官の差により,ホルモンの個々の作用や特性などにも差があるが,すべてのホルモンには,次のような共有の性質がある.
(1)生体触媒として働く.
(2)極めて微量で作用し,かつ触媒作用中に消費されない.
(3)ホルモンが産生される器官とその作用する器官とは異なる.
(4)ホルモンは使用される前に血中に分泌される.
(5)化学構造の上からは,タンパク質,ポリペプチド,アミノ酸,ステロイドなど.
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