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平山 きょうはいわゆる成熟期から更年期にかけての母親の健康管理がテーマですが母子保健と申しましても,一応受精した途端から始まりまして,胎芽期,胎児期,そして出生をむかえて新生児期,幼児期,学童期,思春期というような段階をへる,それに対応して妊産婦の保健管理,小児保健管理,学校保健管理,あるいは青年期ないし婚前期の保健管理というようなものがあって,それぞれの保健管理をやっていく,というのが普通の形でありますし,不完全ながら一応の体系はできております.(図参照)また最近は,母性と小児との間の連けい,医者側からいえば産科と小児科,みなさんの方からいえば助産婦と保健婦というつながりも昔からみるとひじょうに良くなって,母子保健管理が一貫してやれるような体制が徐々に整いつつあるよらに思うのでこぎいます.
しかし,WHOあたりの母性という定義は,現在母親であるもの,それから将来母親になるもの,あるいはかつて母親であったものの全部を母親というので,そうすると,ほとんどの女性は母親になってしまうと思うんです.ところが今申しましたような次第で,母親にこれからなろうとするもの,あるいは母親としてことに子どもが乳幼児期にあるようなものに対しての管理なり,指導なりというものは比較的行なわれているんですけれども,子どもが大きくなってしまった時期,あるいはかつては母親であったというような方に対しての保健管理というものは,ほとんど行なわれていないといっていいと思いますしそういうものの体系は,少なくとも母子保健,あるいは母性保健という立場からはなかったと思います.この時期はおそらく成人保健の分野との接点になってくると思うんですが母親という立場の守備範囲として,これから大いに老えなければならない問題だろうと思います.
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