分娩体験記
31時間もの長い闘いの末に
田島 幸子
pp.42-43
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203492
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□骨盤が狭いのでは?□
早いもので,このような苦しみがほかにあるだろうかと思ったほどのお産の経験も,遠い昔の出来事だったような気がします.
私どもが結婚したのは,昭和38年5月,主人34歳,私27歳,比較的晩婚でした.でも,住宅事情や経済的な理由で,2〜3年子供はつくらないで,私は結婚前,主になって働いていた実家の書店を手伝いに通い,共稼ぎを続けるつもりでした.ところが翌39年4月,六畳一間のアパートから実家の近くに引越すこととなり,その忙しさにとりまぎれ,体の不調に気がついたのは,引越しさわぎもようやく一段落した5月はじめでした.ご飯のたける臭いや,生卵の臭いなど,いつもは気にならないようないろいろな物の臭いがとても気になりムカムカします.その年の2月妹がやはり長女を出産,その時の様子を見て知っておりましたので,すぐ,「妊娠?」と思いましたが,ぬか喜びに終っては,と,お医者様をおとづれたのはそれからまた1カ月たった頃です.
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