分娩体験記
信頼のもとに安産
大島 陽子
pp.42-43
発行日 1967年11月1日
Published Date 1967/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203481
- 有料閲覧
- 文献概要
□□妊娠中毒症で入院□□
昼食の用意をしながら,妙に紫キャベツの色が気になってしょうがなかった.さて食べようとしたとき,ワッとやってしまった.翌日さっそく病院を訪れ,予定日は42年7月4日と決った.うれしさの反面,押えても押えても不安な気持が頭をあげた.サリドマイドベビー,小児まひ,精薄,赤ちゃんとりかえ事件,病菌豚事件などというニュースについ目がいってしまう.マスコミの発達をうらめしくさえ感じた.
胎動が感じられる頃になると,さすがに母親となる喜びが実感となってはきたが,不安は去らず,さらに迷信までが気になりだした.妊娠中に生き物を殺すと目がつぶれた子が生まれるなどという類である.蟻や蚊をずいぶん殺してしまったけれど大丈夫だろうかなどと,いま考えるとおかしいようなことが気になるものである.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.