現代のカルテ
多党化時代?
野口 肇
pp.48
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203366
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1月総選挙がおわり,第2次佐藤内閣がうまれました.もともと佐藤さんは死んだ池田前首相の病床からバトンタッチをうけたもので,自分の責任で総選挙に勝ち,首班指名をはじめてえたことになります.しかもおりから例の「黒い霧」がつぎつぎと発生し,公認をしぼったり,党籍証明だけ交付したり,ないしは無所属として候補をたてたり,いままでとちがう必死の活やくでした.それが効をあげ,激減するだろうという一般の予想を裏切って議席数の57%255議席(無所属8名の入党をふくむ)をえました.
また日本社会党は「黒い霧」バクロではりきりましたが,140議席で前回を一票ふやしただけ,自分でも「選挙技術」の拙さを認めています.いったい汚職の追及だけでは票にならないのは当然で,やっと終盤ちかくなってから政策論争にもちこんだのはもう手おくれでした.それに「黒い霧」もさりながら自民党の側が中傷した,お前のほうの「赤い霧」はどうか,あるいはもし日本が社会党の天下になったらあの中国の紅衛兵があばれるぞ,という宣伝がききました.いたいところです.日常活動の不足,労組依存の限界です.
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