分娩体験記
百人に一人といわれる難産をのりこえて
鯛中 湛子
pp.42-43
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203329
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□□予定日を10日過ぎても生れない子
夜が明けたらもうどんなことがあっても入院してしまおうと,10分間隔で襲ってくる痛みに耐えながらそんなことを考えていた.
39年2月の寒い夜であった.もうあれから3年もたとうとしているのに,まるで昨日のできごとのように鮮明に思い出されるのはなぜだろう?11日が予定日なのに1週間以上過ぎても,本格的な陣痛がやってこないのである.昼間は少しお腹が張るのと,日一日と大きさを増す太鼓のようなお腹の,つき上げるように苦しいのとだけなのに.夜になると10分間隔で痛みが襲い,確かに収縮しているとわかるほど,固くなったりまた元に戻ったりをくり返す.だが痛みは一向に間隔が近くならない.
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