特集 看護婦としての私を支えるもの—看護の先輩から新卒ナースの方へ
私につきつけられた様々な状況—私はどうのりこえていったか
加藤 久美子
1
1東北大学医療技術短期大学部看護学科
pp.477-481
発行日 1978年5月1日
Published Date 1978/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918387
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はじめに
看護学校,助産婦学校を卒業し,臨床で8年間看護をし,看護研修学校で学んだ後,看護教育に携わって,1年が経過した.その間,私は,たびたび‘つきつけられた状況’に遭遇した.‘つきつけられた状況’とは,自分の在り方が問われる時であるのに,今まで自分が出会った経験もなく,従って予測もできない状況のなかで,自分を保つことに困難さを感じるということである.そして自分の目標を見失い,どのように話したり行動したらよいのか,分からない状態にある.その時は心身ともに緊張し,自分だけにとらわれ,周囲の状況を広く見て判断することもできず,孤立感を深め不安になってゆく.
しかしその‘つきつけられた状況’の中で,ある時,自分が依って立つ支えを自分の中に見いだせたとき,その状況をのりこえることができるのだと思う.その依って立つ支えが何であったのかを知ることによって,少しずつ人を理解しようとする支えにもなり,看護や教育をしてゆく支えとなっていくと思う.人間であり看護婦でもある,そしてまだ未熟な私が‘つきつけられた状況’のなかで自己を知り,その自己をのりこえて自立してゆく過程を知ることによって,自らが依って立つところを見いだせるのだと思う.
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