連載 母と子の試聴室
モーツアルト
横山 太郎
pp.47
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203280
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モーツアルト(1756〜1791)は天才とか神童とかいわれています.それをあらわすいろいろのエピソードも知られていますが,姉の練習するピアノを3才のモーツアルトがおぼえて奏いたとか,4才の時にはたいていのピアノ小曲は奏くことができたとかいった類いです.ところでこれはまんざらの作り話ではなく,5才になるとすでに作曲をはじめて,その幾つかは今日まで残っています.
モーツアルトの音楽は流れるような美しい旋律あり,軽妙酒脱なユーモアありで,この世の悩みを忘れさせるようなものばかりです.それはちょうどベートーベンがもしゃもしゃの頭をかきむしって苦悩のあげくつくりあげた音楽とは対照的で,事実彼の短い生涯の中で交響曲が40以上,管絃楽曲100曲以上,協奏曲45,ピアノ曲60以上,歌劇が約20といったふうに次から次へと才能がほとばしり出ています.
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