特集 学会にみた産科の動向
産科出血の原因と対策
品川 信良
1
1弘前大学医学部産婦人科
pp.23-31
発行日 1966年8月1日
Published Date 1966/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203240
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はじめに
出血のために死亡したり,死亡には至らないまでも,多量の出血のためにその後の健康を害したりする婦人を,1人でも減らしたいとの一念から私たちは1959年(昭和34年)以来,産婦人科領域の出血の原因を追究するとともに,対策の確立にも,いささか努力を払ってきた.特に血液病学的,もっと正確にいうならば,血液凝固学的な立場も加味して,この問題を検討するようにしてきた.というのは,産婦人科領域の出血は,外科的病理解剖学的な立場以外からは,これまで,ほとんど研究されてきていなかったし,また困ったことには,こういう立場からの治療だけではどうしても止まらない出血も,少なくないからである.
こうして行なわれてきた私たちの研究のあらましを,第18回日本産科婦人科学会総会において,私は講演したが,その全体を書いたのでは,あまりに専門的すぎるし,あまりに広範囲にもわたるので,ここでは,助産婦さんがたにも関係が深いと思われるいわゆる第3期出血または後産期出血と,産科的低線維素原血症とについてだけ,記載を限ることにする.
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