特集 学会にみた産科の動向
未熟児の小・中学校期における心身の発育
相沢 龍
1
1長崎大学医学部公衆衛生学
pp.10-17
発行日 1966年8月1日
Published Date 1966/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203238
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はじめに
乳児・新生児死亡率は最近著しく改善され,欧米なみの水準に達したことは周知のことである.これは乳児期の胃腸炎や伝染病など,主として生後の,いわば後天的要因による死亡が激減したことによるものであり,治療医学や育児知識の進歩,普及などに負うところが多い.従って問題は次第に生後まもなくの乳児死亡にしぼられてきており,新生児死亡,わけても生後1週未満の早期新生児死亡が乳児死亡対策の重点的な課題となっている.それらの多くは先天的,あるいは母体要因的な死亡であり,直接的に,間接的に未熟児が関与する場面がきわめて多い.
それゆえに未熟児死亡を減少させるための未熟児養育制度の拡充——未熟児出生防止のための妊婦健康管理の強化充実など,一連の母子保健活動が重要視され,行政面でも児童福祉法から母子保健法へと進んできており,未熟児対策は,いわば予防と治療と健全な養育をふくむ綜合的な保健・医療活動を必要としている.
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