インターホン
小さな彼氏
H生
pp.45
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203229
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左背部の痛みで4,5日気分のすぐれない花曇りの4月,寒風の吹き去つた春である.昨日洗いたての髪にも櫛が心よく入り込んで頭の中までがスーッとした朝,雲間よりの陽光がまたこよなく不機嫌を飛ばし布団の整理に夢中…….「おばちゃーん」「おねェーちゃん」とかすかに誰かを呼んでいる声,あたりを見回すと,1ケ月前より塀越しから知り合った小さな彼氏がもみじ手で精一杯振っているではないか.
「はーい」と声を掛けると,また「おねェーちゃん」と2階の窓越しの彼氏は寸足らずなのか?奥からママさんらしき人から「ホーラ机の上に乗ってはいけません」とお叱りを受けている声.ふとこちらを見たママさんは,あら!!と絶句.
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