表紙
「小子椅のマドンナ」—ラファエロ・サンティ(1483〜1520)
pp.56
発行日 1966年1月1日
Published Date 1966/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203120
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ラファエロはその短い生涯の間に数多くの聖母子像を描き,少なくとも40点以上が残っている.この"小椅子のマドンナ"もその一つだが,"サン・シストのマドンナ"とともによく知れわたっているマドンナ像である.マルマルと太ったイエスは母の深い愛と慈しみに守られながら健やかに育っていくような感じの,親しみのもてる美しい母子像である.この絵の呼称は,マリアが座っている椅子に由来する.
ラファエロは,1483年,中部イタリアの山間の小都市ウルビーノに生まれた.父はウルビーノ候に仕える詩人かつ画家であったが,腕のほうはあまりさえず,生活は豊かでなかったらしい.そこで父は,望みを自分の息子の将来に託し.ベルージャに住む画家のところへ見習いに出した.しかし,それからまもなくして,父も母も相ついで亡くなり,彼は11歳で孤児となってしまった.
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