巻頭随想
生命の大きなささえ
西 清子
pp.9
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203014
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いろいろとたくさんある婦人の職業のなかで,助産婦さんほど,心のなかで,いつも,一つのよろこびでふくらんでいるというようなものは,ほかにはないのではないだろうか.そうおもってながめる,私の知っているかぎりの助産婦さんは,そのだれもが,常に明るく,円満で,しかも,たくましく心づよい感じを人にあたえる方たちばかりである.
それもそのはずである.なんといっても,この世に,生命をうみ出す母体の大きなささえが,助産婦さんの手なのだし,腕だし,そのはかり知れない愛情なのだから,そんな崇高な仕事が,よろこびでないといったらおかしなことである.それに助産婦さんにとっては,どんな高位高官の人でも,みんなオサルさんのような真赤な顔をした赤ちゃんの姿に引きもどされてしまうことだろう.
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