母性保健特集講座 施設運営・まとめ
母子健康センターの現状と今後の展望
竹村 秀男
1
1全国母子健康センター連合会事務局
pp.10-14
発行日 1965年4月1日
Published Date 1965/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202942
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Ⅰ.設置の状況
母子健康センターは,主として農山漁業地域の市町村を単位として,昭和33年度から設置され,39年度までに全国で342か所の設置をみた.各府県別および年度別の設置状況は別表のとおりであるが,これをみてすぐ気づくことは,各府県によって設置数に大きな差があることである.多い県はすでに20か所ちかくもできているのに,少ない府県はやっと2,3か所というところもある.母子健康センターはこれまで法的な裏づけがなく,単に奨励的な補助金政策によって設置されてきたので,ある程度の地域的な普及度の差は止むを得ないことである.しかし,この施設こそは市町村における母子保健事業のもっとも有力な拠点であることを想うと,低普及度の府県に対する設置の促進が強く望まれる.
ことに,昭和40年度から,これまで保健所の所管になっていた母子保健事業の大部分が市町村に移管されることになったので,母子保健に関する綜合的な指導施設として母子健康センターの普及はますます重要な課題となる.今後は少なくとも年間100か所程度の設置計画の確立を望みたい.言ってみれば,母子健康センターの設置数は,市町村における母子保健事業の消長を反映するひとつのバロメターである.この施設が全国津々浦々に網の目のように整備されることが,わが国母子保健の現状からみてなによりも緊急な課題であると思う.
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