講座
新生児皮膚消毒とファイゾヘックス
水野 重光
1
,
松田 静治
1
1順天堂大学
pp.49-52
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202923
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まえがき
近年新生児保育の問題がとみにクローズ・アップされるに至り,なかでも新生児感染症とその対策に大きな関心が向けられている.新生児,未熟児は,成人に較べると一般に抵抗力が弱く,細菌感染を受けやすい.特にブドウ球菌による膿皮症や重い症状を呈する肺炎などに罹患しやすい.しかも化学療法の普及につれて抗生物質に耐性を有するブドウ球菌が病院勤務者や病院環境内に広く存在し,施設分娩を中心に耐性ブドウ球菌による膿皮症の多発傾向が報告されていることは,新生児の保育上重大事で,この対策が大いに要望されている.したがって,このような観点から,新生児の皮膚養護を沐浴法を含めて再検討する必要を生じてきた.欧米ではすでに殺菌剤の入ったクリーム,ローションを沐浴に使用する方法が行なわれているが,いずれも皮膚の殺菌効果を目的に応用されているもので,本邦でもミューズ石鹸などの薬用石鹸がこれに相当する.本稿では,沐浴,皮膚消毒の問題ならびに最近入手し得たヘキサクロロフェン(Hexachlorophen:G-11)含有の新しい殺菌剤ファイゾヘックス(Phiso Hex)の紹介と成績について,以下述べてみる.
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