報告
頸管無力症妊婦に対する頸管周囲癒着縫合施術の成功例
野見山 トミヱ
pp.45-46
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202902
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昭和38年4月と39年2月,常習性流産の2婦人が,頸管周囲癒着縫合施術の結果3,300gと2,900gの成熟児を得るという,うれしい成功を納めたので,同じ経験に患婦とともに悩まれたであろう同職の皆さまのご参考にもと,その経過をお伝えする.
流産には複雑な原因があり,原因不明の場合が多く,従来産婦人科においても,わたくしどもにおいても,ただ漠然と,心身の安静とか,ホルモン療法,または鎮痛剤投与などの治療で,うまくゴールに到達することは困難で,たいへん深刻な異常をして見送って来ていたような状況であったが,2,3年前,頸管筋無力症が常習性流産の,重要な原因の疾患であり,頸管周囲の癒着縫合が,80%,90%という非常に高い成功率を納めている記事を読み,後記のような既往歴を持つ妊婦A,B,および家族を説得,大成功を納めることができたのである.この話をある産家でしていたところ,褥婦の話では名古屋にいる姉が流産ばかりするので,その手術をしてもらい,予定日に抜糸したが,一向にお産のもようにならないので,2週間ののちに帝王切開で4,000gもの生児を得たということを聞いた.
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