研究
産後検診について
金子 松子
1
,
志立 美代子
1
,
市岡 操
2
1川崎市高津保健所
2川崎市中原保健所
pp.49-50
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202888
- 有料閲覧
- 文献概要
わが国の妊娠中毒症発生頻度は高く,母体および胎児におよぼす影響は大きい.妊娠中毒症も,他の疾病と同様に,早期発見早期治療が必要であるにもかかわらず,妊婦自身本症に対する認識不足および病状に苦痛が少ないため,放置されている数がかなり多いように思われる.また中毒症は,医薬と同様に,日常生活内の摂生が特に大切なことは周知のとおりである.以上と関連して,近年妊娠中毒症後遺症の慢性化,次回妊娠の再発が高率を占めていることが注目され,新たな研究が進められている.川崎市高津保健所においても,これらのことを重視し,本症をできるかぎり予防し,地区住民の健康を守るために,昭和37年9月より産後検診を開始した.
後遺症の場合,分娩後早期に発見,短時間に治療することがよいと言われているが,保健所として最も早期に把握できる母親は,初回乳児検診の来所者,すなわち分娩後2か月前後であり,その全員に,血圧測定,検尿,浮腫の検査を行なっている.本症に対しての異常者区分は種々言われているが,ここでは血圧最高値140以上,最低値90以上,尿蛋白は(ズルホ法)陽性(+),浮腫(++)のいずれが一症をもって異常者とした.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.