年間テーマ--診断から治療へ 体温の異常
産後の発熱
椹木 勇
1
,
鈴木 康雄
1
,
木下 道雄
1
Isamu Sawaragi
1
1関西医科大学産科婦人科学教室
pp.279-287
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205165
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産褥における発熱といえばすぐに念頭にうかぶことは妊娠中毒症,出血とともに妊産婦の3大死亡原因のひとつである産褥熱であり,それに続く敗血症であつた。しかし,化学療法剤や抗生物質の出現はこの概念を全く変えてしまつて,現在では重篤な産褥感染症にはほとんど遭遇しなくなつている。このことは,妊産婦の死亡率の変遷をみても明らかであり,表1のごとく,その死亡率自体も著減しているが,その中でも感染症の占めている割合が表2のようにごくわずかとなつている。
わが国において,その妊産婦死亡率は欧米の先進諸国に比して,なお著しく高率ではあるが,その問題はさておくとして,表3の示すように,昭和8年には感染死が7.1であつたものが,昭和15年には3.9となり,抗生物質が広く使用され始めた昭和25年にはさらに1.5と激減し,昭和47年にはわずかに0.2にすぎない。
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