母性保健特集講座 妊娠時の異常
妊娠の異常について—助産婦の知っておかなければならない知識
貴家 寛而
1
1福島県立医科大学医学部産婦人科
pp.15-18
発行日 1963年12月1日
Published Date 1963/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202656
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1.はしがき
妊娠の異常とは妊娠じしんに何らかの異常が内在するためで常と異なった状態,あるいは経過をとる妊娠を総称するもので,いわゆる妊娠時に偶然合併する疾患とは本質的には区別しなければならないのであるが,臨床的に異常妊娠,あるいは妊娠の病理を問題とする場合にはこのような区分はむしろ意識して拘泥しないほうがよさそうである.という理由はこれらのいずれの場合の間に相互の関連が深く,切り離して単独に論ずることは実際的ではないからである.
妊娠の異常は原因的には,i)妊娠中毒症,ii)多胎妊娠,iii)妊娠持続期間の異常,iv)妊卵の着床異常,v)妊卵およびその付属物の異常,vi)妊娠時に偶発する合併症,などに分類される.以下これらについて,臨床的あるいは実際的な立場から現在の知見と考え方を中心にして解説を加えて行くことにしよう.
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