インターホン
友との談話から/妊産婦の差恥心への思いやり
保坂 信子
1
1東大助産婦学校
pp.46-47
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202648
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久しく会っていない友だち2人から1日なりと会って談笑したいというはがきを受け,真夏の午後の甲府のむし暑さは盆地特有のものだったが,とにかくなつかしさでいっぱいで,とんで出かけた.Y子さん,K子さんは高校を出るとBGの生活にはいり,今は立派な社会人となって,学生生活の長い私からみると,ずいぶんとおとなのように感じたが,結局,若い私たちのひたむきな姿を自分のなかに芽ばえてきた希望や生き方を,自分なりの力で考えはぐくもうとする姿.生きることと真剣にとり組み,つまずいたり,ころんだりしながらも,自分の作った設計図をかたく握ってコツコツと歩む足音のひとつひとつの中に,二度と訪れない若い日を育て,一度だけの生命を燃やそうとする力がこもっているような感じを友の中から受けとり,そのいぶきにふれて私も,心にひそむ苦悩?や喜びをくり広げ,女の生き方を考えてみようと思った.
人間は生まれおちるとそれぞれの環境にとり囲まれ,ひとつの枠づけを背負っている.この世に生命を授かったという宿命は同じでも,家庭の歴史や,ともに過ごす家族など身近なことからひとりひとりの肩にうけとる環境は,まったく違ったものがあるでしょう.
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