巻頭随想
助産婦のひとりとして
折橋 多美
1
1日大産院
pp.9
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202410
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最近は,産科病棟ではどこでも助産婦が不足し,助産婦学校では入学志望者が減少している.これは助産婦が病院勤務の場合でも,開業の場合でも,適正に待遇されていない現状にその原因があることはいうまでもない.したがつてこれが改善されるべきは当然であり,過去から現在にわたつてその動きがつづけられている.しかしながら複雑な社会機構のなかにあつては,これのみが他から遊離して簡単に解決されるべきものではないから,相変らずの状況にあるが,今後ともその達成のために,うまずに努力が続けられなければならない.
この改善のためには,一人でも多くの協力者を求めなければならないのであるが,ところが逆に助産婦の仕事を,あるいはその勉強を回避したり,またはそれから去つたりして助産婦が少なくなることは,助産婦の立場をさらに悪化する悪循環をきたすこととなるから,このような現状では改善はおろか,現段階を保つことさえむずかしくなるのである.
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