現代のカルテ
東急大臣と私鉄運賃値上げ
永田町山人
pp.53
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202407
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改造前の池田内閣から問題になつていた私鉄の運賃が,こんどの改造内閣によつて,再びクローズ・アップされてきた.池田首相は参議院選挙中の遊説先で記者会見をやり「私鉄運賃の値上げは,参議院選挙の直後にはやらない」と,少なくとも年内くらいは値上げをしないという含みをもたせた発言をしていた.
ところが,今度の内閣改造で運輸大臣になつた綾部健太郎氏(藤山派)は,東急文化会館や他の東急系十数社の社長や会長をしており,政治調査会長になつた賀屋興宣氏(岸派)も,東急系の顧問や役員をしているので,私鉄会社はまたもや勢いをもり返して,運賃値上げムードがでてきた.果せるかな,綾部運輸相は8月早々に池田首相を訪ね,首相の意中をさぐつたといわれている.運輸相の値上げ論の根拠は,無人踏切癈止や混雑緩和策は,運賃を値上げしなければできないというものと,毎年のベース・アップなどによる労働攻勢で,私鉄会社も相当資金的に参つているというのである.
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