裸にされる“王様”—タクシー料金値上げを斬る

それでも利用する

　戦後一回も，タクシーのサービスがよくなったという話を聞いたことがない。どうしてこうも評判が悪いのかと思うほど，タクシー業界への利用者のウップンは積りに積っている。

　神風タクシーで胆を冷した記録は，いまだに鮮やかだが，道路がクルマで一杯になって神風のように走りまわれなくなるや，今度は逆に乗せてくれなくなった。不当な料金はふっかける，乗客に乱暴は働く。それでもモータリゼーションとやらいう世の中になれば，いやでもクルマに乗らなければならない。利用者は世のスウ勢に押されて，いくら拒否されても，運賃をふっかけられても，暴力沙汰の怖れがあっても，クルマに乗らざるをえない。口惜しいけれども，手を上げてクルマをとめざるをえないのだ。