連載 妊産婦保健指導の実際・16
分娩時の指導
青木 康子
1
1日赤産院保健指導部
pp.36-39
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202371
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分娩時の指導を,今迄の続きとして,保健指導の実際という名目の中に,入れるかどうかについて,ずいぶん迷いながら,書き始めましたが,書いている中に,当然書くべきであつたと,自分の思慮の足りなかつたことに気がつきました.それは,私どもの仕事が,その目的を理想の人間あるいは社会をつくりあげることにもつ教育に,より直接的な面,つまり人間つくりの根本である.人間が生れ出づるのを助けるという,大へん重要な点で接しているということを,改めて痛感させられたからなのです.とかく分娩をたくさん扱えば扱う程,分娩そのものだけに目をむけ,機械的になり勝ちですが,上記のことを考えながら分娩を取扱う時,始めて,助産婦の使命の重要性や崇高さが納得されるのではないかと思います.従つて分娩時の指導も,よりよい人間,赤ん坊をこの世の中に送りだすための指導であり,今迄の妊婦指導も,この劇的な場面へもつてくるための,前奏曲であつたといつても過言でないと思います.ただこの場では,主役が分娩介助であり,指導は脇役に廻るわけですが,見せ場における脇役の重要さはくどくどと申す迄もないことと存じます.
さて,私がまだ看護婦学生であつた頃「日本のように,分娩介助が上手に行なわれている所は少ない.
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