目で見る胎児・新生児の病態 Visualized Fetal & Neonatal Disease
未熟児網膜症
楠田 聡
1
1杏林大学医学部小児科客員教授
pp.5-6
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0055.08.02_0005-0006
- 有料閲覧
- 文献概要
「人の網膜血管の発達」硝子体動脈が消退後,視神経乳頭から網膜中心動脈が進入する。胎生15週頃から網膜中心動脈の原基となる紡錘形細胞塊が出現し,血管内皮細胞に分化しながら神経線維層内に進入する。血管と神経系は解剖学的に伴走していることが多く,機能的にも密接に相互作用をしている。胎生12週頃まで子宮内で網膜は無血管であり,低酸素状態に反応し網膜グリア細胞であるアストロサイトが血管内皮増殖因子(VEGF)および細胞外マトリクスを供給する。網膜血管内皮の形成はVEGFの濃度勾配で誘導され,神経線維層内に侵入していく。網膜血管が鼻側周辺に到達するのは胎生32週,耳側周辺までに到達するのは胎生36週である。網膜内の毛細血管網は4層あり,それらを連絡する垂直連絡血管がある。①放射状乳頭周囲毛細血管,②表層毛細血管(神経節細胞層に鋸状縁1mm後方まで分布),③中層毛細血管(内顆粒層内境界面に後極まで分布),④深層毛細血管(内顆粒層外境界面に赤道まで分布)。網膜外層は脈絡膜毛細血管から栄養されている。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.