講座
赤ちゃんを中心とした産科学—第2回 分娩損傷による頭蓋内出血とその対策(1)
伴 一郎
1
1国立京都病院産婦人科
pp.53-55
発行日 1961年10月1日
Published Date 1961/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202218
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分娩損傷による頭蓋内出血とは,分娩の途中児頭に加わつた外力が原因となつて起こつて来た頭蓋内出血という意味です.この出血は児の死因となるばかりでなく,いわゆる脳性小児麻痺の原因の一つとしても重要な意義を有するものでありますが,われわれが新生児の頭蓋内出血と総称しているものの中には,分娩損傷によるもののほかに,子宮内あるいは分娩の途中で起こつたアノキシア(Anoxia,酸素欠之)によるものもありますので,まず頭蓋内出血一般について簡単に説明し,次に分娩損傷による頭蓋内出血の代表ともいうべきGalen氏大大脳静脈,直洞,横洞など小脳天幕を中心とした静脈幹からの出血と,上大脳静脈からの出血との2つについて病理,臨床,並びに予防対策(頭蓋内出血の予防ということを十分考慮した分娩取扱法)をやや詳しく説明したいと思います.
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