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—ちよつと待つた!—助産婦学校の入学資格切下げ論
遠
pp.46
発行日 1960年10月1日
Published Date 1960/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202008
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高校を出たら,すぐに助産婦学校に入れるようにしたらどうだろうかとか,助産婦の修業年限を1年ほど短かくしたらどうかとか.「助産婦」「保健婦」「看護婦」「准看護婦」という職種のちがいが,すべて「看護婦」を基準にして扱われる制度的欠陥への反動かもしれず,また助産婦不足の現況に由来する焦慮かもしれないのだが,この問題は,火の手こそ上らないまでも相当くすぶりはじめている.人員不足は外的な,待遇不満は内的な火だねなのであろう.しかし,この火だねに,浅はかな油をくれる事は禁物.
助産婦の仕事の大きさ,重さに対する衿持というもの,自負というものは,助産婦自身がすべきもので,却つてそれを過少評価するのはいささかならず不見識のそしりを免れない.努力すべき目標はもつと他の面にこそみつけねばなるまい.というのが現状では「良識派」の弁であるらしいが,それかあらぬかアメリカの方では,看護婦の他に,助産婦と保健婦とが,綜合された形で新らしい高度の資格へ発展解消される試みが具体化しているという事が帰朝者によつて伝えられつつある.「そうれみろ」と言うは易いが,問題は決して簡単ではない.公衆衛生院の荻野博士が本誌12号のため執筆中の「アメリカの助産婦制度」はその間の事情を明らかにするものになると思われる.御期待を願いたい.
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