講座
妊産婦死亡減少への途—妊産婦死亡例報告の提案
瀬木 三雄
1
1東北大学
pp.18-21
発行日 1959年4月1日
Published Date 1959/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201656
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
かつて我国の妊産婦死亡は多くの文化国中最低であつたが,近時諸国のこの死亡が急減したのに比し,我国におけるその減少ははかばかしからず,殊に戦後において減少傾向はストツプせるかの感があり,今や多くの文化国よりも高率に取り残されてしまつた.この推移の情況に関しては,既に本誌12巻3号及び4号(昭和33年3月4月号)に述べたからここにその詳細を再言する必要はない.
1920年以後の妊産婦死亡率の推移を日,英,米について図示すると第1図のようである.1920年において,我国の妊産婦死亡率は35.6(出生1万に付)であつたが,この年米国白人のこの死亡率は76.0であり,日本の2倍よりも高く,米国有色人(主としてネグロー即ち黒人)は128.1であり,日本の3倍半以上であつた.英国は翌年1921年に於いて40.9であり,米国白人や有色人よりも著しく低かつたが,しかし日本よりは未だ高率であった.それから34年の年月がすぎた.1956年の状態はどうであつたか.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.