研究
子宮の復故
我妻 まさ
1
,
鈴木 俊子
1
1東北大学医学部附属病院産婦人科
pp.21-25
発行日 1959年2月1日
Published Date 1959/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201623
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はしがき
妊娠40週で子宮底の高さが32〜35cm腹囲85〜90cmに達した子宮も,分娩を経過して産褥期に入ると急速に復故して約6週後にはほぼ正常の子宮にもどる.そしてこの復故現象は授乳,後陣痛,栄養その他種々の生活環境によつて甚しい影響をうけるものである.私はこの度正常子宮の復故に関する種々の因子について記載し産褥に於ける看護が子宮復故と密接に関係する事についてのべたいと思う.子宮の復故機転は産褥に於いて最も著明にみられる現象の1つである.分娩直後子宮は固い球状となつてやや右側にかたより,子宮底は恥骨結合上11〜12cm臍下2〜3横指附近にあつて,腹壁上容易に触知することができるが,その後漸次上昇して12時間後には臍高乃至臍上1〜2横指に達し,日数の経過に従つて次第に下降し分娩第4日には分娩直後とほぼ同一の高さになる.第5日には恥骨結合と臍との中間,第8〜10日には恥骨結合上縁まで降下し,第10〜14日には全く小骨盤腟内に入る.その後徐々に縮小して6週間後には妊娠前の状態に復故するものである.
日数による「恥骨結合上縁より子宮底にいたる距離」を橋爪先生の調査と私の調査成績を並べて第1表に示す.
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