講座
農山村に於ける母性保健の向上—山梨県白根町に於ける愛育組織視察の感想
秋葉 照夫
1
1母子愛育会母子保健部
pp.15-19
発行日 1958年12月1日
Published Date 1958/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201587
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厚生省では母子愛育会に委托して毎年母子衛生技術者講習会を行つており,今回は既に第38回目であつて,全国各地から保健所,県衛生部,諸病院等に勤務している助産婦が集り,総数26名が猛暑の中を熱心に45日間の長期に亘り,各方面の権威者から講議を受けて来た.その一環として母子衛生の地域組織の活動並びに運営の実況に接する為に,臨地訓練が行われたので,その模様と農村に於ける妊婦の現状について話をしてみたいと思う.
御承知の様に母子愛育会では厚生省の指導のもとに全国各地で自主的に編成された母子愛育組織の活動を後援している.かかる組織は通常各町村に於て地区毎に班長並びに班員を置き,専門家(保健婦又は助産婦,看護婦等)の指導のもとに一般主婦並びに女子青年が各々近隣の数世帯を受けもつ班員となつて,その地域に於ける母子衛生乃至一般保健衛生の向上をはかる活動にあたり,所謂新しい"村づくり"を推進しようとするものである.今日ではこうした組織を持つ町村が約2,000に及んでいるが,そのうち有名なのは山梨県中巨摩郡源村の"源村母子愛育会"であつて,既に20年の伝統をもち,非常な成果をあげて屡々厚生大臣や県知事からも表彰されて来た.最近市町村合併により,この村の一部が分村して隣の白根町に合併した為,残つた地域だけで引続き愛育活動が行われているが,一方源村の一部を併合した白根町の側でもこれを契機に新しく母子愛育会組織が造られることになつた.
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