研究
半脳児の例
伊藤 ふみの
1
1東京都大久保病院産婦人科
pp.6-8
発行日 1958年12月1日
Published Date 1958/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201584
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はしがき
先日ある雑誌で脳水腫で臀位分娩の報告があり御存じの方もあると思いますが,助産婦の立場と云う点で考えさせられる所がありました.その例は34才4回経産,前回分娩は何れも異常なく予定日は1月3日,第8カ月で臀位と診断,外回転術を行つたが又臀位となり12月30日には児心音不明,1月4日に陣痛が始まり,破水から肩胛娩出まではなんともなかつたのですが,頭部が高度の脳水腫だつたためとても時間がかかり,やつと娩出させたが勿論死産でした.所で畸形だつたので手伝に来ていた隣りの方にも誰にも見せずに帰つたところ,かえつて邪推されて助産婦の手落のため子供が死んだと云いふらされました.患者には喜こばれたものの,口うるさい田舎なので困つてしまつたが,然し自分を犠性にしてもこの秘密を守つている喜びがある云々というのです.この開業助産婦の方の思いやりのある精神,つまり看護精神に徹した態度に感心すると共に,私の病院の他の助産婦の人達とも,この様な時の処理はどうしたらよいかと話し合つたものです.所が最近この例の様な脳水腫ではありませんが半脳児の例があり,種々感じた所がありましたので以下簡単に述べてみましよう.
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