解説
母子健康センターについて
轟 秀雄
1
1厚生省児童局母子衛生課
pp.37-39
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201489
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母子健康センター設置の考え方
わが国の母子衛生の現状は最近著るしく改善され,その国の母子衛生の現状を云々する指標ともなる乳児死亡率をみても,出生1,000に対して40と約30年前の三分の一に減少している.このことは一般国民の衛生思想の向上,特に母親の育児思想の向上にあるが,同時に保健所の母子保健衛生サービスも見逃すことはできない.御案内のように,現在,母子の保健衛生の事業は,全国的に783カ所の保健所を中心として,保健所における母子クリニツク・集団検診・家庭訪問等各種のサービスが行われている.しかし,保健所は大体11万人の人口に1カ所の割合に設置されており,管内の多方面にわたる公衆衛生事業を担当している.従つて,管内の母子の保健衛生のために充分なサービスがゆきわたらないのが現状である.保健所の所在地はまだしも,保健所々在地より遠隔の地にあつては,なかなか保健所サービスが充分にゆきわたらない実情である.反面,母子の保健衛生の事業は,小地域性の事業とでもいうか,所謂,母親が手近に,又気軽に利用できる施設があつてこそ伸びる事業で,こんな意味から前述のような11万人の人口をカバーするような保健所のみでは,今後更に母子の保健衛生の事業の飛躍的な向上進展が望まれるものではない.せめて市町村の区域を単位に,その寄り所となる施設があれば,母親も気軽に利用でき,保健指導も充分に受けられるのではなかろうか.
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