講座
副腎皮質と胎盤(3)
赤須 文男
pp.11-14
発行日 1958年3月1日
Published Date 1958/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201433
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妊娠と副腎皮質
私は一番はじめに,個体を守るものは副腎皮質であるといつた.それならば妊娠時はどうかという問題になる.この場合は個体(妊婦)の他に胎児というものがある.このために,非妊婦と異つた状態が現われて来なくてはならない.先ず妊娠時の副腎をみることにする.妊娠すると副腎は大きくなる.けれども生体の体重も増加してくるから体重100gについて換算してみると妊娠副腎は特に大きくはない.
組織学的にみると細胞は肥大し,数も増し,充血を示しており,脂肪顆粒(副腎皮質ホルモンもこれに含まれている)は,妊娠初期は微細で多量であり,後期も同様であるがやや粗大になつている.このことは副腎皮質が妊娠中を通じて活動していることが分る.この活動はことに妊娠前期に著しい.活動性をみるために,副腎のビタミンCやコレステロールの量,アルカリフオスフアターゼなどをみると何れも副腎の機能が全妊娠期を通して高まっていることが示される.副腎組織呼吸も妊娠時は非妊時より亢進している.
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