社會の動向
国際ペンクラブ大会の成果
長谷川 泉
pp.52-53
発行日 1957年11月1日
Published Date 1957/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201371
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第29回国際ペンクラブ大会が9月1日から8日まで日本で開かれた.ペンクラブがアジアにおいて開かれたのは,今回が最初である.その意味において開催国となつた日本の役割は重大であり,歴史に残る仕事を果したといえる,芳賀檀が一昨年のペンクラブ大会で日本開催の水先案内をしたとき,世論は必ずしもそれにくみしなかつた空気もあつた.はつきり日本開催と決定してからも,いよいよ開会の寸前までペンクラブの役員が寄附金集めに東奔西走するというような風景も見られたが,案ずるより生むが易し,とにかくまがりなりにも,ペンクラブ大会は日本で開かれ,しかも多大の成果を残したといえる.
このことは,来年に開催をひかえている国際胸部医師会議についても同様のことが言われはしないか.宮川米次博士等が,この大会の日本招致を実現した時,時期尚早をとなえて,国内の受入れ態勢必ずしも一本にまとまつていたとはいえない.現にこの大会に対し非協力を宣言している一部の学者もあるくらいである.だがこの会議(ACCP)の開催準備はすでにスタートされ,着々と実施の歩みを進めつつある.勿論予算は多きに越したことはない.しかし,日本の現状においては出来ることと出来ないこととがある.出来るだけのことをする,誠意を以て歓迎する——それがACCPを日本に招致した人達の気持であつた.
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