診療室より
男性不妊症と親子鑑定
斉藤 正実
1
1関東逓信病院婦人科
pp.62-64
発行日 1957年11月1日
Published Date 1957/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201376
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世は挙げて産児制限の時代で,アウスが大流行,心あるものは受胎調節の普及に努力していますが,その苦心がいささか空廻りしているので,東京という世界一の大都会を持つて人口過剰に苦しんでいる我国の嘘,偽りのない実状ですが,中には子宝に恵れず,子供慾しさに泣いている夫婦も少くありません.検査や治療をうけている不妊症婦人の数は産婦人科外来患者の中では相当な%を占めています.
所謂,不妊症といつてもその原因は種々様々で,原因をつきとめるのが先ず大仕事で,原因がわかつてから治療するとなると,またこれが大変です.従来は不妊症の原因はすべて女にあると考えられ,昔は3年して子なきは去ると,あつさり離縁されたものです.20世紀の今日でも,イランでは皇后が3年間不妊のときは離婚されるようです.現在の皇后はすでにそれに該当しているので,相当やかましい問題になつているようです.ところが,イランの王様は前の妃との間にも子供がなく,もしかすると不妊の原因は王様の方にあるのかも知れないというので,スイスの病院で診察をうけるらしいという記事が最近の新聞に出ていました.こうなると,王様の方が皇后から離縁されるのかしら.
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