講座
乳腺炎の臨床
浅井 得二
1
1浅井乳腺外科医院
pp.66-71
発行日 1957年7月1日
Published Date 1957/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201309
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
女子が思春期前になりますと乳腺が発育し初め,次第に肥大し,18才頃までには,完全に発育します.又妊娠によつて更に肥大し,授乳準備状態に入り,出産直後に分泌を開始して,乳腺本来の目的を果すわけであります.以上の様な乳腺の変化と発展は,凡てホルモンの作用によつて起るので,乳腺疾患とホルモンとは密接な関係があるのです.(乳腺に関係あるホルモンは,下垂体前葉ホルモン,エストロゲン,プロゲステロン,アンドロゲン,副腎皮質ホルモン等であります。)
急性乳腺炎も,慢性乳腺炎も,その源はホルモン作用の低調や,不均衡に因るのです.これ等のホルモンに命令を下す中枢は,間脳にありますが,間脳は心理や感情の中枢でもあるので,家庭内の不和とか社会不安等の母体に心理的影響を与える諸問題は,凡てホルモンの機能を低下させるのです.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.