研究
臍帶卷絡の研究
宇川 チエ子
1
1天使助産婦学校教務
pp.18-21
発行日 1957年5月1日
Published Date 1957/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201260
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私達が助産職を立派に遂行して行く為に,色々な障害に対処しなければなりません.その最も刹那的な場合にも,助産婦として正しい知識と技術を熟練させなければ,その真の目的を達することは出来ないのであります.特に危険性の突発は明かに,分娩時に予告なしに,結果的に表われるのが常であります.この研究課題を通して,なお一層産婦への観察を考究し,分娩進行中における危険を未然に防ぎ,広く社会で助産職に専念される人々と共に,医学的,科学的な見知からその幸に努力し貢献しようと思います.
当病院における過去2年間の経験より述べ,臍帯巻絡に対する建設的な御批判を仰ぎたいと存じます.臍帯巻絡は定義的に言いますと,臍帯が胎児の主として,頸部及び,躯幹四肢に巻絡している状態を言いますが,昭和31年度の当病院の総分娩数に対する臍帯巻絡の比率は全体の約8%であり,特に初産婦に圧倒的に多く見られ,緩かにして何の障害も見ずして解除出来得る数は4%,分娩第1期,第2期により切迫仮死及び,第2度仮死を伴うものは2.3%,2〜3回の高度の巻絡により死亡する数は0.2%,また骨盤と陣痛の割合,胎児の大いさ,硬靱なる軟産道,早期破水等の相互関係と認められるものは1.5%という率を示しております.
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