私の経験
臍帯纏絡の一例について
生田 実子
pp.42-44
発行日 1953年9月1日
Published Date 1953/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200438
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妊婦は満27歳の経産婦,正常産2回で過去には特記すべき疾病もなく2人の子供も健全であります.最終月経昭和27年10月3日より3日間で,分娩豫定日は昭和28年7月10日.体格は中等,肥満型.骨盤は棘間26cm,櫛間29cm,大転子間31cm,外結合線21cm,斜経線各23cm,側結合線17cm,でやや大,子宮底長32cm,腹囲93cm,血液ワ氏反応陰性であります.
私が初めて診ましたのは姙娠10カ月(昭和28年6月26日)で兒頭は母体の左側,臀部は母体の右側で横位をとつておりました.心音は臍の左側で正調強実に聽取し臍帯雜音はありません.横位のことゝて医師より入院をすすめられ29日午前11時に入院いたしました.その時は兒頭は子宮底部で第1骨盤位の状態でありまして臀部は骨盤入口上に浮動しており心音は臍の左側でやゝ微弱であり血圧110〜70で尿中蛋白陰性であります.位置異常から遂娩の目的で30日の午後2時30分メトロ挿入し3時30分頃より弱い陣痛が発来し5時30分メトロが脱出いたしまして,その後陣痛は次第に強くなり午後7時には1分間歇の50秒発作でありましたが,下向部はいぜんとして固定せず午後9時に内診いたしましたところ子宮口3指開大,先進部は足部でありました.
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