短歌のまどい
短歌入門(10)
長澤 美津
pp.42-43
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201172
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1.短歌の革新(浪漫派)
明治になると江戸が東京となり京都から持ちこまれた歌風が宮庭派,在来の江戸派,それに対して民間派としての動きが生じて短歌に大きな変動を与える時が来た.
明治10年頃から日本を風靡した極端な欧化主義に対してその反動として明治20年頃文部省が国文学の奨励を称え出した.一方宮中御歌所は明治2年に復興され4年に宮内省歌道御用掛が設けられその後宮内省の仕事として幾多の変遷を経て明治21年御歌所の設定となつた.ここで文部省と宮内省と一緒になつて国文詩歌の勃興を計つたがひとたび文明開化に洗われた風潮は因襲の久しい風体にあきたらないものを感じ出し和歌を改革しようという意図を持つ人々によつて新しい運動となつた.当時この人達の作風を新派和歌と呼んだ.
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