今月の献立
妊産授乳婦の榮養と食餌
武藤 靜子
pp.33-35
発行日 1955年1月1日
Published Date 1955/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200773
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月みちて生れて来る子供の体重が約3kg,一体この3kgはどの様な成分から来ているのだろうか.ある人の計算によると蛋白質が約400gとなるから,卵にすると大体67個分にあたり,又脂肪は350g含まれているから之は油にして約2合になる.蛋白質や脂肪ばかりでなくこの他カルシウムや燐,鉄その他の無機成分があり,念入りに各種のビタミン(A,B1B2ナイアミン,C,D,E,K等)まで含まれている。妊娠中の母体はこの様に胎兒の体に大量のそして種々の栄養分を送つてやらねばならぬほかに乳腺の発育や子宮の増殖にも材料を提供しなければならず,胎盤その他の胎兒附属物も新生しなければならない.その上新陳代謝も活発になつて,母体自身も余分のエネルギーや栄養分殊にビタミン類を消費するようになる.当然母親は之等養分に必要とする食物を日々の食餌からとり入れてゆかなければならない.
然し妊娠したら早速そんなに余分の食物をとり入れるようにしなければならないものだろうか.否,そんなものでもない.妊娠の初期は勿論胎兒は非常に小さく從つてそんなに多くの栄養分を必要としない.妊娠がすすむに從つて次第にこの必要量は増してゆき,殊に妊娠末期にいたると母体から胎兒への栄養分の移行は急激に上昇する.
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