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弗素の話
吉川 春寿
,
小松 節子
pp.70-72
発行日 1954年10月1日
Published Date 1954/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200720
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弗素は塩素や臭素や沃素と共にハロゲン元素に属し化学的に非常にはげしい性質を有してをり,その化合物であるところの弗化水素酸等はガラスのやうなものさへ溶かす程である.このやうに激しい性質をもつという事は,他の元素と非常によく化合し易いことを意味するのでこの元素を単体の形に取出すことは仲々難しい.
我国の地中には殆んど全国的に分布しているが,地質学並に地形学的には,花崗岩地帶,第3紀暦地帶,及び第4紀暦地帶にある谷川流域並びにデルタ地帶に多く,地理的には火山地帶,鉱泉地帶に多く一方鉱山,炭坑地区にも多い.弗素を含有している鉱物としては螢石,氷晶石が代表的なもので最も多く,その他黒雲母,燐灰石,透明石膏,電気石等にも含まれている.弗素の化合物は非常に多く30種類余もあるが,そのらちでむしば予防のために現在使用しているものは弗化ソーダである.
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