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主要線と文字の分類—字書の研究(2)
山崎 光
pp.64-65
発行日 1954年9月1日
Published Date 1954/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200697
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- 文献概要
前号には字書について先四つの基本原則をきめて全体共通の標準をきめて置いたが便利であるということを記したのでありましたが,次には千差万別の数多い文字の姿についての見方,考え方,書表し方について一応の考察を払つて,後技術の練習にかかることが必要であると思います.今,私はわが国民が生活の利器として持たなければならない千余の漢字と二種の假名のいずれも共通点があつて自ら文字の分類が出来,興味深い研究の第一歩に達するのであります.
まず形の上から漢字を見ると,横に長い線を持つ文字,縱に長い線を持つ文字,又最長線がゆるくたわんだり,うねつたりしている線をもつ文字があります.最長線は文字の大きさを定める基本線であります.之を私は主要線と名附けました.その主要線は横線のこともあり縱線のこともあり,又斜線のこともあります.例えば木の字は—横の主要線,|は縱の主線,八は斜の主要線ということになります.この文字の基本線の考察が文字形を整える上に非常に重要な点となり,しかも同時に数百千の文字の分類が出来るのであります.
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