発行日 1947年6月15日
Published Date 1947/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906201
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工場看護婦の定義を下せば,職場にある男女の群に對し,看護の技術を用ひてその最良の健康を増進保持せしめ,傷病の際敏速有效たる看護をすると言ふことであらう。看護婦室は工場の内にあつて,大きな設備のよくとどいた醫務局の一部でも良いし,込み合つた製作場の中のほんの僅の場所を「健康の第一援助」取引所として役立つ樣に看護婦の設備したものでも良い。任務の價値は看護婦の居所の外觀に依るのではなく勤務する看護婦の質に依るのである。工場看護なるものゝ,最初にして最も大切な要素は優秀看護婦である。工業には最良のものが必要である。
工場衞生綱領が推移して傷病勞働者の應急手當から肉體,精神兩のよりよき健康といふ廣い方面に向つて行つたので工場看護婦の活動範圍は無限に擴つた。若し彼女が戰後の産業界にも殘存して勞働と經營の要求に應ずるものとすれば彼女はその知識と技術の全部を利用して被傭者のよりよき健康を保持する手段としなければならない。この新しい工場衛生網領に我等工場看護婦はどんな貢獻をなし得るだらう。主たる貢獻は保健教育の方面にある。工場看護婦は職務の背景,相互の利益,勞働及經營の密接な關係のために保健教育綱領主役となる。
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