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先天性股関節脱臼は早ければ必ず治る
堤 直溫
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1国立東一病院整形外科
pp.36
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200501
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先天性股関節脱臼は早い中に治療すれば完全に治すことができることは今日では疑のない明かなことですが,一方神奈川,岐阜,愛知等各方面の肢体不自由兒調査では先天性疾患が第1位で,しかもそのうちで先天性股関節脱臼が一番多いという報告があります.このように早く治療すれば完全に治る病気であるところの先天性股関節脱臼が今日なお治療をうけずにほつたらかしになつており,あたら一生を肢体不自由兒として過ごしているという状態であります.厚生省の調べでは全国で40万人の肢体不自由兒がいますが,そのうち先天性疾患は24%,約10万人ぐらいおります.先天性股関節脱臼は先天性疾患の58%ぐらいですから,先天性股関節脱臼のためにかたわとしての生活を送つているものが6万人もいることになります.
一方,出産200について1人の先天性股関節脱臼の赤ちやんが生れますから,全国で1年間に200万人生れるとすると1万人の脱臼の赤ちやんが生れることになります.ところが先天性股関節脱臼は生後すぐにでも比較的簡単に診断することができますし,生後すぐならば割合に簡単におむつの当て方などの方法できれいに治ります.生後半年もたつてからでは整復してギプスをかけるというように治療が厄介になります.4.5才以上にもなると,そのままでは整復できませんから,牽引療法を行つてから整復するという工合に益々面倒なことになります.
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