邦樂への道・2
箏の起源
唯是 震一
pp.57
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200396
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「琴瑟相和す」とはよく夫婦の仲の良い象徴としていわれる言葉ですが,前回に申し述べましたように,琴には柱がなくて高音部を彈ずる樂器で,低昔部を瑟が奏し調和させるわけです.ところが箏の起源として傳えられている逸話はあまり幸福なものではありません.
すなわち昔中国の秦時代,始皇帝に2人の娘があり,家宝として傳えられた二十五絃の「こと」がありましたが,その樂器のことで姉妹が喧嘩を始め,その結果始皇帝は思案にくれて,その「こと」を2つに裂いて2人に分ち与えました.やがて2人はそれぞれ嫁ぎ,1人は中国に,1人は朝鮮に,その箏を持つてゆきました.
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