講座
姙娠と結核
赤須 文男
1
1東邦醫大
pp.13-15
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200098
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結核は結核菌の感染によつて發生する疾病であつて我國は有名な結核病國である。婦人が妊娠しようとしまいとそれに關係なく結核菌は感染するから妊娠で結核を合併する場合は多數に見られるわけである。
妊娠に結核が合併すると,結核は増惡することが多い。その原因としては平凡な事柄から云えば,妊娠して間もなく發現する惡阻症状は,結核の場合に治療上極めて重要な食餌療法に對する大きな障碍になつてくる。微熱を示すようになれば一層この害は甚しくなつてくる。又,妊娠すれば,母體の新陳代謝は亢進してくるので,この事も結核を増惡させる一つの大きな要素となつてくる。妊娠月數がすゝめば,胸部呼吸が増して來て肺の安靜が障げられて來る事にもなる。かくして,妊娠の月數が進むに從つて例外はあるが一般に結核は増惡するものである。例えば,ツアンゲマイスターの統計によるとその増惡度(%)は次表の如くである。
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