診療室
各種方法併用による姙娠中期の中絶時間短縮法
津久井 壽
pp.272-273
発行日 1952年6月10日
Published Date 1952/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200638
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妊娠中期に於ける中絶は臨床家の甚だ頭を惱ますところである。終戰後この時期に於ける中絶法に關する發表が莫大な數に達するのは未だ決定的の線に達して居らぬ事を物語つている。開業醫としてはこの時期に於ける中絶にあまり日數を要しては苦情を訴えられ醫師も又焦燥に駆られる結果となるが,如何に早くとも危險を伴つたり後障碍を殘す方法では更に困る。子宮下部切開法の如き一次的娩出法は良いであろうが之を反覆し得るかの點が疑問であるしSchuchardt氏切開を要する場合など考えるとどうも一般的でないと思う。
一時盛んであつたAburel氏法は四面楚歌となり紹介者なる山元氏が終に自驗例をあげてAburel氏法は實際に應用すべきではないと發表して終止符がうたれた觀があつた(「産と婦」1950年5月)。結局古いbougie法に戻つた人も多いがこんな方法では日數が長くかかりその中には發熱してくるしてこずる事が多い。山元氏の否定的意見以來Aburel氏推奨の發表をみなかつたが近頃西島教授が200例に行い全く安全なる方法と信ずと發表した(「産婦の世界」1951年5月)。Aburel氏法による死亡例の發表をみると大部分飽和食鹽水100cc注入例であり而も詳細なる病理解剖の發表例がなく眞の死因は未だ充分明らかでなく,子宮壁に食鹽水が注射されなかつたと云う確實な證明がない。
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